ジャムウとは…

(1)ジャムウ、それはジャワの古文書にも登場する万病の薬

ジャムウとは、ジャワ語、インドネシア語で「植物の根や草から作られた薬」の意味。ジャムウは、ハーブ等の天然材料のみを調合した、体にやさしい伝統的な治療薬です。症状によって多彩な調合法があり、その方法ははるか昔から人々の間に口述で伝承されてきました。

 

(2)幸せを受け継ぐように、母から子へ

絶えることなく伝えられた天然の薬「ジャムウ
とくに女性の美と健康を保つためのジャムウは、各家庭で母から娘へと伝授されてきたもの。その効果は、美白、消臭、殺菌、生理痛や生理不順の解消など多岐に渡っています。さらに、膣の締まりがアップするという効果も・・・。つまり、ジャムウは「女を磨く特効薬」ともいえるモノ。「わが娘が健康で幸せな女性になれるように」と、インドネシアの母たちが娘に手渡す、一番の贈り物がジャムウなのです。

 

(3)現代社会でも認められたジャムウ

1960年代以前までは、ジャムウはジャワ、インドネシアの人々の間で細々と伝承されていた天然薬でした。しかし、その後、ジャワ島出身のオランダ医学を修めたセノ・サストロアミジョ(王家出身)が、ジャムウについて「インドネシア本来の薬」という本を出版し、広くその存在が認知されるようになりました。現代社会では、製薬会社もその効能を認め、粉末や丸薬、カプセルとして販売しているところもあります。

 

(4)ジャワ・インドネシアの王家でも伝承されていた「ジャムウ」

ジャムウに関する書物では、ジャンピという言葉が登場することがあります。ジャンピは、王家に伝えられたジャムウに似た天然薬のこと。その言葉の意味はインドネシア語では「魔法」、ジャワ語では薬に対する敬語、つまり「お薬」ということになります。王族の間でジャンピは秘宝とされていました。また、インドネシアにおいてドゥクンは、ヒンドゥ思想から成る専門の特殊技能者や治療業務に携わる人のこと。現代のジャムウは、王族のジャンピ、ドゥクンによるジャムウ、民間に伝わるジャムウを混合させたものと言われています。

 

(5)インドネシアでのジャムウの一般的な使われ方

インドネシアでは、さまざまなシーンにジャムウが登場します。内服用、塗擦用、さらにお茶の代用としても、生活の中に浸透しているのです。そして、疲労回復から、内蔵疾患の治療まで、ジャムウの薬効が活躍する場は、数限りなくあります。

 

(6)日本でジャムウを最初に紹介したのは誰?

日本では、医学博士だった故高橋澄子氏がインドネシアの伝承的治療薬としてジャムウを研究。ジャワ語しか話すことのできないジャムウの専門家などからその処方を聞くなど詳しい調査を重ね、ジャムウのすばらしい効果を日本に伝えました。1988年には平川出版社から「ジャムゥ インドネシアの伝統的治療薬―歴史と処方の解釈」を出しています。